1つ目がいきなり手入れと修理で驚かれるかもしれません。
でも、もともとは既成品を手入れし、修理しながら長く使うところから、
CARAPACEはスタートしました。
お手入れしながら少しずつ変化していくのを見るのは楽しいことです。
修理するほど使い込むのはうれしいことです。
壊れてしまうことは悲しいけれど、
それを直せるというのは楽しいことです。
CARAPACEは修理できることが値打ちだと考えます。
長く使い続けられるように、
できるだけお手入れと修理をしたいと考えています。
何年も使い込んでいくうちにいい感じに変化していくために、
もっとも影響するのが素材選びです。
CARAPACEは、育つ素材を選んでいます。
植物に含まれるタンニンで鞣(なめ)した革です。伸びが少なく堅牢さが特徴。最初は薄いピンク色で、使ううちに飴色になります。無染色なので皮膚の様子がわかりやすく、キズ、シワ、色ムラ、血管の跡など、一頭一頭が生きてきた独自の表情が残っています。
岡山県倉敷市で作られる綿100%国産の帆布です。布を織るための糸を撚る行程から、織り、出荷までを自社工場でなさっています。リュックには8号帆布を使用しています。しっかりと厚みがありながら綿のやわらかさを感じることができる生地です。
真鍮・銅のメッキされていなものを使用しています。メッキが剥げる心配もなく、素材そのものの変化を楽しめます。よくあるカシメは使っているとたまにとれてしまうことがありますが、CARAPACEが採用しているカッパー(銅)リベットはとても頑丈で外れることはまずありません。
できあがったものからはわかりにくいかもしれません。
でも、一つ一つの作り方に何を考えて作っているかが現れます。
このリュックには裏地がほとんど(※)ありません。裏地があると使う人に見えない部分ができて、傷んでいても気がつくのが遅れてしまいます。また修理の工程も複雑になります。そのため、裏までしっかりした素材を選び、裏も自信をもって見みせられるような縫製を心がけています。今後も「できるだけ見えるように」という方針を守っていきます。
※ただひとつ、このリュックにも見えないことろがあります。背中のところに3枚に分割して樹脂の板が入っています。リュックの形を保つためどうしてもこの構造になってしまいました。
革部分の多くは手縫いをしています。丈夫さもありますが、手縫いの方がミシン縫いより圧倒的に修理に向いているからです。たとえると、手縫いはボルトとナットでの組み立て、ミシンはボンドでの接着です。手縫いでは縫う前に菱目打ちという道具で穴をあけ、その穴を一針一針縫い進めます。修理で糸を取り替えるときも、また同じ穴を使い縫い進めるので革を必要以上に傷めることがありません。