手入れして経年変化を楽しむ。

革を意識して使い始めたとき、一番気になったことが手入れのことでした。  

「長く、気持よく使っていくにはどうしたらいいのだろうか」

「ちょっとしたことでダメにしたくない」

 

靴屋さんに手入れのことを聞いてみたり、

本や雑誌も読みました。

「ちょっとした日々の手入れで革の寿命が伸びます。」

でもそれがどれくらいの寿命なのかはわからない。

 

「水には弱い、できるだけ濡らさぬように」という意見もあれば、

「時々ちゃんと水に通してやるべきだ」という意見もある。

 

どうしていいのか確固たる方向性は見いだせぬまま、

長持ちさせたいという気持ちから、

恐る恐る革を触りました。

 

恐る恐る革を使っている。

手入れに振り回されているんじゃないかと思ったとき、

「長持ちさせたい」とは思いつつも、

そのカバンやスリッパを使いたいのは「今」だということに思い至りました。

 

革の寿命を5年から10年に伸ばすために、

日々の手入れに恐怖することは実はないんでないか。

思いっきり使って、修理が必要になることが楽しいのではないか。

 

「雨に濡れないように、雨の日は大事に家に置いておこう」では、

何のためにこのバッグやCARAPACEの商品を作ったのかわかりません。

 

思いっきって使った革の寿命は、

決して長くないかもしれませんが、

しっかり使ったという時間を私たちは大切に見ています。

思いっきり使えるように、

できるかぎり修理したいと考えています。

 

CARAPACEの商品は将来のためにではなく、

「今」しっかり使って楽しむものです。

手入れが楽しい

恐る恐るの手入れはなかなかつらいものです。

でも、楽しい手入れがあります。

 

革をしばらく見ていると、革の様子がわかってきます。

「やわらかくなってきた」

「なんだか乾いている」

あまり触らない部分、雨に濡れた部分、

砂埃がついた部分はなんだか元気がありません。

 

そんなときにオイルをサッと入れると、

革がふんわりと、生き生きします。

水が足りなくてひしゃげてしまった植物に水をあげる感じです。

オイルを塗った革の変化を見てうれしい気分になります。

 

手入れも「今」楽しむためにあります。

使うたびにちょっと様子を見て、

自分の使いやすいようにするために手入れはあります。

 

日々使いやすい状態にしておくことが、

結果的に革を長持ちさせるのだと思います。

革の手入れ(オイルを入れる)

最初はタイミングがわかりにくいと思いますが、目安としては数ヶ月に1度程度で大丈夫です。使いながら革を観察して自分の塗り時を掴んでもらえればと思います。

しっかりと雨に濡れた後は、乾いた感じになることが多いので観察してみてください。

 

 オイルの塗り方

1 表面の汚れを落とします。

乾いた布で表面の汚れ・埃をさっとを落とします。

落とさずにオイルを塗ると、汚れがオイルで包み込まれた状態で表面に残ってしまいます。

2 オイルを塗る

柔らかい布につけ薄く均等に塗り広げます。

塗った場所の色が濃くなり、少しムラが出ますが、時間とともに馴染みます。

 

使うオイルによって仕上げの雰囲気が少しづつ変わってきます。

好みのものをお使い下さい。

CARAPACEではニートフットオイルを使用しています。

(左)植物性のラナパー、(中央)液状のニートフットオイル、(右)動物性のミンクオイルなどおこのみで。工房にこの三種類は置いていますのでお試しもしてもらえます。
(左)植物性のラナパー、(中央)液状のニートフットオイル、(右)動物性のミンクオイルなどおこのみで。工房にこの三種類は置いていますのでお試しもしてもらえます。

キズ・汚れがついた場合

ヌメ革はキズがつきやすい革ですが、キズは消すことがほとんどできません。

多少のキズであれば、機能に問題ありませんのでそのままお使い下さい。

穴が開くなど大きな破損であれば、修理もご検討ください。

 

革が濡れた場合

濡れている革は柔らかく変形しやすくなります。

捻れなどがあるまま乾かすと、その形のまま固くなってしまいますので、

平らな状態で乾燥させて下さい。

また、乾燥後は革がカサついていますので様子を見てオイルを入れることをおすすめします。

 

保管について

長期の保管で状況が悪ければ革にカビがはえる場合があります。

日常的に使っていれば、カビが生えることはほとんどありません。

 

カビが生えたら

見つけたら布などで拭き取ってください。

カビによりシミがついた場合、除去することは難しいです。

 

CARAPACEで使用している革はとても丈夫で、よっぽどのことがない限り大きく損傷することはありません。安心してどんどん使ってください。

帆布の手入れ

使うほどに手に馴染む柔らかさが出てきます。

革のようにオイルを入れるなどの手入れは必要ありません。

薄くなってきた、破れた、ポケットなどの取付部が外れてきたなど

見つけた時には、修理をご検討ください。

 

汚れがついた場合(2021年8月10日更新)

気になる汚れは乾いた布、場合によっては濡れた布で叩くなどして落として下さい。

 

布自体は水洗い可能なものですが、キャラペイスの製品は革の部分もあるため通常は丸洗いはおすすめしません。大きく濡らすことで革の茶色い成分が溶け出し帆布部分にも染み込んでしまう可能性があるからです。

 

また、布自体も縮んだりシワがよったりします。

 

普通の使用の範囲の汚れは、帆布の経年変化とあいまって特に気にならないように思います。

 

 

一度、CARAPACEのリュックを洗ったことがあります。ご参考までに。

 

革と帆布のCARAPACEリュックを洗う。洗ったほうがいいのだろうか。(2015年5月5日)

 

結果的には、どうしても洗わないといけないかは汚れ方の度合いによると思います。

ちなみに、リュックは布にシワがよったりすることは、トートやショルダーほど気にならないのでその点は気楽です。

 

カッパーリベット、真鍮の金具

真鍮または銅のメッキされていないものを使用しています。

 

真鍮の金具の手入れ

特に手入れは必要ありません。よく擦れる場所は光沢が出て、そうでない場所はくすんでいきます。CARAPACEではこのくすみと光沢が生み出す趣が味わい深いと考えています。

 

カッパーリベットに緑青が出た場合

銅は緑青が出ることがあります。害はありません。

気になるようでしたら布などさっと拭いてください