CARAPACEの大谷隆はスリッパに悩んでいました。
体が大きいこともあってかサイズが合わない。
小さめのを無理やりはくのですぐに壊れてしまう。
修理してもちゃんとは直らない。
表の布地、ウレタン材や芯材など、
様々な層からなるスリッパは、そもそも直すことには不向きでした。
そこでスリッパを作ることにしました。
手入れし、修理しながら使いたい。
素材には育っていって欲しい。
そんな、スリッパはどんなだろうか。
このスリッパにはキャラペイスのリュックと
同じ考えが貫かれています。
もちろんスリッパなので室内履きように作っていますが、
最初の試作を作ったとき、大谷隆が喜んで庭まで履いて行ってしまいました。
作った方としてみれば、
「なんで大事に履いてくれないのよ」と最初は機嫌も悪くなる。
そのときは、自分が作ったものが外の環境に耐えうるのか自信がなかったんです。
しばらく履いているうちに、
この革がそれくらいの扱いには十分に耐えてくれるということがわかりました。
試作の底の厚さは最終的に製品化したものの半分ほどの厚さ。
それが1年以上、部屋の中と庭でも履いて、
一番よくあたる親指のところが少し薄くなってきたという程度です。
直せるだけでなく、そもそも強いものを作りたかった。
だから、気を使わず乱暴に履いても大丈夫だとわかったことが、
製品化につながっていきました。
このスリッパは底の革が一枚、足の甲に当たる革が一枚、そして一本の麻糸でできています。
修理が必要になるとしたら、まず糸が切れるはずです。
何度か糸を縫い直して使っているうちに、
そのうち底の革が薄くなっていきます。
足の甲の側の革に穴が開くこともあるかもしれません。
これらはすべて修理することができます。
修理することが楽しいと思えるように、
作ってあります。
糸は、ミシンではなく、手縫いです。
手縫いでは縫う前に縫い目の穴をあけ、
その穴を一針一針縫い進めていきます。
修理で糸を取り替えるときも、同じ穴を使い縫い進めるので
革を必要以上に傷めることがありません。
革が薄くなった時は、
糸を全て解いて薄くなった革を交換します。
糸と革とを交換し続けることで、
ずっと使い続けられます。
スリッパの底は革の原厚(げんあつ)で作っています。
革というのは牛の皮を鞣(なめ)して作られますが
生き物であるそれぞれの牛の特性がでるので、
革ごとに厚さにばらつきもあれば、形も違い、表面の様子も変わってきます。
革は、問屋さんで売っている状態では1枚の革でも場所によって厚みが異なり、
通常は用途に合わせて革の裏側(床面)を削いでもらい、厚さを揃えて使います。
こうやって革を削ぐことを漉(す)くといいますが、
全く漉かずに鞣されたそのままの厚みの革を「原厚」といいます。
ちょうどいい厚さに漉くことは、
製品を作る上で重要なことですが、
もし革を漉かない状態の原厚で作ることができれば、
革の全てを使うことができます。
原厚での使いみちはないだろうかと考えてきました。
スリッパの底であれば、
漉くことのメリットよりも
原厚の厚さを生かすことができるのではないかと
思い立ちました。
漉いていない原厚ですので、
実際の厚さは製品によって若干差があります。
価格
S・M 10,000円(税込み)
L・LL 11,000円(税込み)
※2024年2月より価格を改定しました。
サイズ(※)
|
S:24cm程度 M:25cm程度 L:26.5cm程度 LL:28cm程度 |
主な素材 |
牛革・麻糸 |
※これまで履いてくださった方のサイズを参考にしたサイズ目安です。足の形により履き心地は異なります。
工房にて、ご試着いただけます。
留守のことなどもございますのでの、ご希望の方は問い合わせフォームよりご連絡の上お越しください。
・縫い糸の色が7種類より選べます。
・左よりシロ、ベージュ、キャメル、チャ、コゲチャ、クロ、アカ。
(画面上の色と実際の色が異なる場合があります)
縫い糸の色選びに迷った時はこちらの動画をご覧ください。
購入してくださった方からの感想